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陽だまりの偽り(長岡 弘樹)
双葉社 2005年
最近、物忘れがはげしいことを気にしている郁造。息子の嫁から預かった現金を落としてしまったが、どこで落としたのかも覚えていない。ボケ老人のレッテルを貼られることを恐れ、郁造はある行為に踏み切る。果たして、その先に待ち受けていたものは…(表題作「陽だまりの偽り」)。5つの心模様を端正に描いたミステリー短編集。小説推理新人賞作家、注目のデビュー作。
ちょっと皮肉な感じのミステリ。 「こんなそばに、優しいまなざしがあった。嘘に託された、ひとつの真実 5つの心模様を端正に描いたミステリー短編集」ってことらしいし、確かに優しさもあるんだけど、同時に皮肉が織り込まれてる感じ。 そこがほのぼの一辺倒でなくて面白い。
文体はなんだかちょっと古臭い感じがするというか、洗練されてない気もするけど(笑)
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春の魔法のおすそわけ(西澤 保彦)
中央公論新社 2006年
満開の桜の下、二日酔いの小夜子が出逢ったのは謎の美青年と見知らぬ肩掛け鞄……。人生の再生を描く、あたたかくて、ユーモラスで、ちょっと涙する、著者渾身の書き下ろし小説。
当初はミステリか、すわ人体入れ替わりの超常ものか、と思ったのだけど、割と普通に…ええと、何小説?(笑) 恋愛小説ではないし、人生小説か…?
昨夜の記憶がない小夜子が、電車から降りたときに持っていたのは自分のポシェットではなくてショルダーバッグ。しかも中身はとんでもない額の大金。 やけになった彼女が声をかけたのは謎の美青年。 終わりの方で真相が解明されると、ああ、という感じになる。
まあ、今まで散々そう言っておいてそのオチなの?的なツッコミもあるけど、人間自分に厳しい人もいるからなぁ。ありか。
系統的には森奈津子シリーズ(西澤作品の森奈津子シリーズですよ)っぽいなと思いました。小説家だし、ちょっと女の子にも興味があるし、破天荒だし。 あと、とんでもない鯨飲ぶりはうっかりこっちも酔いそうだ(笑)
うん、割と面白かったです。
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カカオ80%の夏(永井 するみ)
理論社 ミステリーYA! 2007年
私は三浦凪。好きなものは、カカオ80%のチョコレートとミステリー。クラスメートの雪絵が書き置きを残して姿を消した。いったいどうして? 17歳の凪が夏休みに遭遇した事件を描く、ガーリッシュ・ハードボイルド。
YA!と銘打たれている割には、大人びた感じのミステリ。 面白い。 雪絵の家出の理由、そこに絡む思惑、出会う人々、となかなかテンポのいいストーリー。
人間の持つ厭な部分も描いており、その辺りが大人びた印象であるかもしれないのだが、割とオススメだと思う。
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稀覯人の不思議(二階堂 黎人)
光文社 カッパ・ノベルス 2005年
手塚治虫愛好会の会長が自宅の離れで殺され、貴重な手塚マンガの古書が盗まれた。しかも犯人は密室状態の部屋から消え失せてしまった!犯人は愛好会のメンバーなのか?大学生、水乃サトルが持ち前の頭脳と知識と軽薄さを駆使し、高価なマンガ古書を巡る欲望と、マニア心が渦巻く事件の謎を解く。
時代は一体いつなんだろう、と思いながら読み進めてました(笑) 1980年代半ばなんですね。
密室トリック自体はそんなに目新しくないです。 水乃サトルに関しては、「〜マジック」しか読んだことないので、あまりはっきり覚えてないんだけど、こんなにミョーな人だったかしら(笑) 手塚治虫作品もある程度分かるし、古書に関する気持ちも分からなくもないので、どちらの意味でも面白く読めました。
ちょっと登場人物が多すぎて、どれが誰だか把握し切れませんでしたけども。
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さくら草(永井するみ)
東京創元社 創元クライム・クラブ 2006年
プリムローズ殺人事件―殺害された少女たちが身にまとっていたのは、ローティーンに絶大な人気を誇るジュニアブランド、プリムローズの服だった。清純で高級感のあるデザインは、プリムローズを身につけた少女の写真を売買する男たちをも生み出す。亡くなった少女たちに果たして何が?ブランドを守ろうとするゼネラルマネージャー、女性刑事、そして少女の母親、事件に揺り動かされる女たちを描く、著者渾身の長編ミステリ。
犯人の目星を幾つかつけていたけど、ことごとく外したよ(笑) それくらい思いがけない犯人だったので、ちょっとそこはもう少しヒントがほしかったかなぁ。
ブランドに思い入れのある人のほうが共感できるかもしれない、狂的とも言える傾倒ぶり。 事件によって、そこに加わるものが、あさましくて、また、かつ、いたたまれない。店員達の目線で語られる、店の遷移の方に頷いてしまう。 ブランドは、結局、ブランドとして語られる以上、地に引き摺り下ろされる危惧をいつも孕んでいるんだろうなぁ。
面白いと思う。 ただ、ちょっと病んでる人が多いので、その辺は気をつけた方がいいかも(笑) 何せ、読んだ後に疲れるから。
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