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青年のための読書クラブ(桜庭 一樹)
新潮社 2007年
山の手のお嬢様学校、聖マリアナ学園。異端者(アウトロー)が集う「読書クラブ」には、100年間語り継がれる秘密があった−。史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の物語。『小説新潮』掲載に書下ろしを加え単行本化。
青年と銘打たれているので、てっきり「男性」がどこぞで登場してくるのかと思っていたが、これはそういう意味の「青年」ではない。或いは、「王子」を含めた少女達のことを指すのだな? 登場人物の一人称が「ぼく」であることもまた、それを示しているのだろう。
さて。 桜庭一樹っぽいなぁ、という感想では駄目だろうか。いわゆる「少女性」をモチーフに描いた学園物。 なんというか、現実に存在しない、或いは存在していても顕在化しにくい、そういう「少女」を扱っている。上手い例えとは思えないが、例えて言うなら長野まゆみの「少年性」に似たもの。 それも、ただの壊れやすい夢見る少女ではない。したたかで狡猾でいやらしく、攻撃的でありまた庇護すべきものでもある、そんな存在。ある意味現実的といえなくもない(笑)
読書クラブとは、そんな少女達の中でもアウトローばかりが集まるクラブだが、ここで扱われる書物がまた現実離れめいている。曰く、「シラノ・ド・ベルジュラック」「マクベス」「緋文字」「紅はこべ」。 あいにく、最初の2作品の粗筋を大方知っているくらいで、全て未読(笑)
面白い!というのではないが、じわじわと浸透されていく感じがいい。
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乙女虫 奥羽草紙 ―雪の章―(澤見 彰)
光文社 2007年
鷹と仔犬を連れた浪人と、兄の敵討ちの旅をする男装の少女おりんは出会った。彼らを追うのは、雲助、剣豪、妖し。そして、彼らが追うものとは…。俊英が描く、新感覚ホラーテイスト道中記。
紹介としてよく見かけたのは「俊英が描く、渾身の時代活劇、ここに開幕。」の方なんだけど、 こっちの方が正しいと思ったので採用。
…だって、時代活劇とばかり思っていたら、いきなり妖しが出てくるんだもの。しかも話の中盤で。そんな話になるんなら、ある程度伏線を張っておいてくれないと。 そりゃ、確かに、鷹も仔犬も人語を解するような設定にはなってるけどさ。違うだろ、それとこれは。
タイトルが「雪の章」となっているから、続くんだろうな、と思うんだけど、主人公二人の位置付けがちと弱い。 次の作品で、一体どっちに焦点が当たるのか、或いはどちらも出てくるのか、その辺も読めないし(いや、スポットが当たるなら浪人の方だろうけど)、なんともいいがたい。 文体も、今一歩馴染めないんだけど、今までのよりはアリかな…。
とりあえず、続刊が出たら読んでみようとは思う。
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烏金(西條 奈加)
光文社 2007年
因業な金貸し婆、お吟のもとに現れた謎の若い男、浅吉。お吟のもとで押しかけ居候を始めた浅吉には、実は秘密の目的があった…相棒の烏、勘左とともに、浅吉が貧乏人を救う!『金春屋ゴメス』の西條奈加が放つ超・時代エンターテインメント。
面白かったー。 浅吉の狙いが何なのかが分からないままに進むので、一体どんな過去があるのだろうと思ったら、そんなことだったとは、って感じ。いい意味で驚かされる。
借金をどうにかしようとするその流れにはワクワクするし、人情にはほろりとさせられる。 浅吉は取り立てのほうなのだけど、ただ取り立てるのではないところがいい。
ゴメスの人間離れした感じよりもこっちの方が面白いかもしれない(笑)
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結党!老人党(三枝 玄樹)
毎日新聞社 2007年
フツーのお年寄りがひょんなことから国会デビュー? 捨て身になれる老人こそが、この国を救うのだ!! 『混合男児』が好評の新人が放つ、笑って泣ける・痛快政治コメディ。
「老人たちにも、若い人たちにも夢と希望を与えられる、それが老人党の活動だと思っております。・・・・・・・老人は邪魔者ではありません。日本の救世主となるのです」―老人党党首 宮下辰夫の演説より―普通のお年寄りがひょんなことから国会デビュー?捨て身になれる老人こそが、この国を救うのだ。日本一やさしい、笑いと涙の政治小説。
面白かった! ありえないかもしれないけど、こういう日が来てもいいじゃないか、と思わせる政治小説。 子供たちも手を離れ、貯金なんか残してたって使い道もない、守るべきものやしがらみがないからこそクリーンな政治を作っていける、そんな老人達だからこそできるのだ、と。 そう思って活動する彼らのなんと若々しいこと。 つまりこれは、老人達による「青春活劇」なのである。
青臭くてもいいじゃないか、変にこなれちゃうから政治家なんてものは腐敗しちゃうのだ。
さすがに90代の老人が選挙に立候補しちゃうのは無理がある気もするけど(笑)、笑えて泣ける面白い作品。
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ワーキングホリデー(坂木 司)
文藝春秋 2007年
「初めまして、お父さん」 親子の夏が始まった−。息子と過ごすために、ホストから「ハチさん便」ドライバーへ。正義感の強い元ヤンキー父と、おばちゃん臭い少年のハートフルな物語。
いきなり実の息子が現れて、それをひょいとあっけなく認めてしまうのはまだいいとして(もと彼女の性格を分かっているのならそれはありだろう)、息子としてはいきなりそんなに懐いてもいいものかどうか。 とはいえ、ハートフルであることには違いない。 なんとなく桂望実の作品じゃなかったっけ、これ、と間違えそうになるテイスト。坂木司もあたたかい物語を書く作家だからあえて間違えなくても良さそうなものだが(笑)
誰もが優しい。
そう、こういう物語は「ありえねぇだろ」的なツッコミを入れたら面白くないのだ。どいつもこいつもいい人。それでいいじゃないか。フィクションなんだから。 そういう気分で読むといいと思う。
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