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夜のピクニック(恩田陸)

新潮社 新潮文庫 2006年

高校生が一昼夜かけて80キロを歩く「歩行祭」
その、ただ歩くだけのイベントの中で、幾つもの想いが綴られ、幾つもの過去が語られ、幾つもの関係が明らかになり、幾つもの葛藤が交錯する。
歩き終える頃、彼らが見るものは。

本当にただ歩くだけ。
ミステリもホラーもない、ただ歩くだけの話。
(あえて言えば多少ミステリっぽくないこともないが)
なのになぜこんなにも濃いのか。
読んでるだけなのに、こちらもまた共に歩いているかのように錯覚する。同じように高校生としてその列のどこかに紛れ込んでるような気がする。同じような経験をしたわけではないのに、どこか知っている。

恩田作品の少年少女はどこか綺麗だ。ドロドロとした葛藤を抱えてもなお綺麗だ。たぶん、それは、彼らの芯がしっかりしているからなのだろう。泥の中にあって眠る鉱石のように。
イメージとして、登場人物の中に一人や二人謎めいて現実味のない静けさを持つ少年や少女がいるのも恩田作品なのだが、今回、どの子もその要素を持っている気がする。
多分、延々と歩いていくうちに、余計なものがそぎ落とされていくんだろう。

ところで、最後に出てくる、車の運転手は誰だろうか。思わせぶりな書き方をされているが、どこか別の作品で出てきた誰かなのか。単なる位置登場人物ならばあの描写は不要だと思うのだが。
あいにく記憶力には自信がないので、該当人物をご存知の方がいればこっそり教えてくださるとありがたい(笑)

正直言うと、話題になるほどかな、と思わなくもないが、それでも、人に薦めてみたくなる本ではある。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


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