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毒草師(高田 崇史)
幻冬舎 2007年
家伝の秘密が暴かれた時、新たな殺人が始まる−。東京の旧家で起きた連続失踪と、謎の毒物による殺人事件。事件の謎を解く鍵は「伊勢物語」にあった! 「QED」シリーズ随一の傲岸不遜な男・御名形史紋が難事件に挑む!
QEDの準レギュラー、とうとう自分が主役のお話が…。 でも、なんだか今一歩かな。どうせならQEDメンバと絡めても良かったんじゃないかなぁ、みたいな。 ごちゃごちゃしてそうでそうでもない、というのが感想かな。 なんかこう、それならもっとすっきり出来たんじゃないかしらみたいな感じがね。 でもまあ、面白いと思います。 伊勢物語、所々しか読んでないからちょっと読んでみたくなったし。
消えた姉妹については、途中で気付きました。
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お月さん(桐江 キミコ)
小学館 2007年
あまりにも小さくて、かなしくて、さびしい。でも、泣きたくなるほど、いとおしい。こんなふうでも、人は生きたいものなのだ−。表題作ほか、全12編を収録。淡い人生の味わいがぎっしりとつまった、珠のような短編集。
泣きたくなるような話ではないと思うが、どれも小さくて寂しくてそれでいてなんとも柔らかな感じの話。 痛いものを痛いと感じさせない、いや、痛いのだろうけれど、どこかゆるい。回想の中で思い出す痛みのようなものだろうか。 そんな魅力があると思う。
正直、いつまでも覚えているかといわれたら自信がないような作品ばかりなのだけど、それでも読んだことは覚えていそうな、そんな気がする。
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終末のフール(伊坂 幸太郎)
集英社 2006年
「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。秩序崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は…。表題作のほか、「太陽のシール」「籠城のビール」など全8編を収めた連作短編集。
新井素子の「ひとめあなたに…」を連想した。もっともあちらは一週間後くらいに隕石が落ちてくるので混乱のさなかなのだけど、こちらは残り三年、暴動もあらかた起き尽くして小康状態になった頃なのでその辺が違ってくるのだけれど。
こういう終末ものは好きだ。誰かがどうするというのではなくて、どうしようもなくて、その中でなお生きていくというスタイルの終末もの。いや、食い止めようとするスタイルの話も嫌いじゃないけど。
最終的な読後感は良いけれど、一つ一つは殺したり殺されたり無くしたり亡くしたり、不穏だったり不幸だったり。でも、伊坂作品にはそれをものともしないキャラクターというものがいるので、それが救いになってるのじゃないかなと思う。 打たれ強いというか、飄々と受け流すというか、なんとも掴み所のないような性格のキャラクターたち。
面白かった。
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紳士ならざる者の心理学(柄刀 一)
祥伝社 ノン・ノベル 2007年
人間心理の盲点を突く 驚愕のトリック! 大学研究室で起きた盗難と感電死の不可解な連鎖――。 紫色の影をもつ犯人の謎――。 これぞ美しき本格! 魅惑の傑作短編5編
「天才・龍之介がゆく!」のシリーズ。 このシリーズは、いろんな知識を駆使して龍之介が、安楽椅子探偵の様相で(実際に動いていてもイメージとしてこんな感じ)謎を解明していくシリーズなのだけれど、彼の性格も関係しているのか、淡々と謎が解かれていくのが面白い。 まあ、裏を返せば盛り上がりには欠けるのだけど、それはそれでありだと思う(笑)
人間の心理を突いた犯罪、光の要素を取り入れた謎、心霊写真の真相。 どれも面白いのだけど、時々回りくどい気がするのはご愛嬌かな…。 とりあえず、このシリーズを読むと、ちょっと博識になった気がしますよ(笑)
何はともあれ、今作で、プレイランドが完成したので、次はそこが舞台になりますかねぇ…。
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ブレイクスルー・トライアル(伊園 旬)
宝島社 2007年
【『このミステリーがすごい!』大賞(第5回)】技術の粋をつくした難攻不落の技術研究所に侵入し、24時間以内に所定のものを持ち帰るという、懸賞金1億円の一大イベント「ブレイクスルー・トライアル」。数々の障害に立ち向かい、突破するのはどのチームなのか?
ビミョー。 題材としては面白いと思うのだけど、なんていうか、臨場感が足りない。あと、どうにも文体が合わない。 「○は×をしたが。それは△だった。」みたいな感じで、本来読点でいいところを句点にしている箇所が随所に見られて、それはもう気持ち悪いったらありゃしない。 あと、主人公チーム、強盗チーム、男女ペア、管理人等々、各パートに分かれて展開するんだけど、主人公パートの地の文のみ「俺」表記であるところがとても不自然に思える。どうせならどれもかも統一した方がしっくりくる。
中途半端な感じが否めず、ツッコミどころも多いのであまりお勧めは出来ないけれど、読んで失敗というほどでもない。
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チョコレートゴシップ(森橋 ビンゴ)
角川書店 2007年
ボクは女の子と出逢い別れるたびに、チョコレートケーキを焼く。チョコレートのようなボクの恋愛をどうかどうか−美味しく食べてくれますように。ライトノベル発の甘くて苦い、オトナ/コドモの恋物語。
ラノベ作家であるらしいが、名前自体初見。 4篇の話は、どれも出会い別れる。主人公は各自違えども、名前という記号と幾つかのプロフィールが違うだけで、根底は似てる気がする。つまりさらりと淡い。 ゲイであったり、女装癖があったり、サディスティックな少女だったり、過食症気味であったり、リストカットしたり、レズだったり、いわゆる世間ではマイノリティ認知の人々が織り成す話なのだが、重たくない。 軽い、というのではないが重たくない。 小気味いい、というか、読んでいてさっぱりとしている。 途中途中に挟まれる、ボクが作るチョコレートケーキが代わりに重たさを吸い取ってるんじゃないだろうかというくらいに。 その比重バランスがいいからかな。 割と面白いと思う。
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ワーキングホリデー(坂木 司)
文藝春秋 2007年
「初めまして、お父さん」 親子の夏が始まった−。息子と過ごすために、ホストから「ハチさん便」ドライバーへ。正義感の強い元ヤンキー父と、おばちゃん臭い少年のハートフルな物語。
いきなり実の息子が現れて、それをひょいとあっけなく認めてしまうのはまだいいとして(もと彼女の性格を分かっているのならそれはありだろう)、息子としてはいきなりそんなに懐いてもいいものかどうか。 とはいえ、ハートフルであることには違いない。 なんとなく桂望実の作品じゃなかったっけ、これ、と間違えそうになるテイスト。坂木司もあたたかい物語を書く作家だからあえて間違えなくても良さそうなものだが(笑)
誰もが優しい。
そう、こういう物語は「ありえねぇだろ」的なツッコミを入れたら面白くないのだ。どいつもこいつもいい人。それでいいじゃないか。フィクションなんだから。 そういう気分で読むといいと思う。
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スロウハイツの神様(下)(辻村 深月)
講談社 講談社ノベルス 2007年
人気作家チヨダ・コーキが暮らす「スロウハイツ」の住人たちは、平和な日々を送っていた。新たな入居者・加々美莉々亜がくるまでは。コーキに急接近する莉々亜の存在が、不穏な空気を漂わせる…。
というわけで、だんだんといろんなことが明らかになってくる下巻。だんだんとなので、途中ミスリード喰らわされそうにもなるので注意(笑)
読むにつれてだんだんと顔がほころんで来るのが分かる。そして泣きそうにもなる。 そう、やっぱりね、という箇所もあれば、それもなのか、と驚く事実もあって、でもどれもあたたかい結末になっている。
…ところで、加納…の謎は…解き明かされてたっけ…? ああ、そうなのか、という気もしたんだけど、詳らかに記されてないので推測の息を出ないんだ…。気付いてないだけかしら…(笑)
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スロウハイツの神様(上)(辻村 深月)
講談社 講談社ノベルス 2007年
猟奇的なファンによる小説を模倣した大量殺人事件から10年。筆を折っていたチヨダ・コーキは見事復活し、売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせた。しかし謎の少女の出現により…。
この人の書く作品は優しくて苦しい。もどかしいまでの不器用さが手に取るように伝わってくるのだ。 でも優しい。 才能のある人間の苦悩、才能の芽吹かない人間の苦悩。仕事、恋愛、夢、それは手が届きそうで届かない場所にあって、それに向かって手を伸ばそうと足掻いている。そのもがきが伝わってくるから苦しい。
上巻ではあちこちに伏線が張られていて、それは徐々に下巻で明らかになっていくので、続けざまに読むのがオススメ。
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キノの旅 11(時雨沢 恵一)
メディアワークス 電撃文庫 2007年
『お花畑の国』 を含む、11話を収録。 黒星紅白描き下ろしイラストも満載。 そして、今回の “あとがき” では……!?
このシリーズはいいなぁ、と思う。 からりとウィットに富んでいて、なんて酷いんだ、と悲壮感ゼロの口調で言ってしまうようなそんな読後感がある。後味悪そうな結末なのに、そこがいい。
それにしても11話も入っていたのか、と今ちょっとそこにビックリ(笑) ちなみに読んだことない人に補足説明をすると、このシリーズのあとがきは秀逸です。手を変え品を変えいろんなところに出没するの。
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赤い夢の迷宮(勇嶺 薫)
講談社 講談社ノベルス 2007年
小学生だったあの頃、仲良し7人組のぼくらは「世の中には、やっていいことと、やっておもしろいことがある」と語る不思議な男・OGに心惹かれていた。だが「お化け屋敷」と呼ばれる彼の館で起きたある事件をきっかけに彼とは疎遠に。それから25年、大人になったぼくらは突如 OGに招かれ、再びあの館へ。しかし、そこで待ち受けていたのは悪夢のような殺人事件だった。
手にとって初めて「ああ、はやみねかおるか」と気付いた。 いつものPNではなく漢字表記であるところに大人向けであるという意味をこめているらしい。 殺人事件が山盛りな辺りがそのゆえんなのだろう。とはいえ、文章自体は読みやすい。トリックなんかも面白いと思うのだが。
なんだろうなぁ、なんか中途半端な読後感…。 宝物の置き去りにされたその後なんかも気になるし、影の有無の疑問もあるし(ああ、でもこれはつまりそういうことだから見えなかったのか、という納得はできる)、終わり方も今一歩。 つまりこれは秋のシーンから飛べばいいのか?
悪夢らしさは出ると思うのだけど、おかげで曖昧さが増してしまってすっきりしない。それが狙いならそれもありだけど。
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銃とチョコレート(乙一)
講談社 ミステリーランド 2006年
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。
チョコレートの名前ばっかりなので、チョコレートメーカーを知ってると楽しいと思う(そこかよ) ドゥバイヨルだけ分からなかった(笑) いつも思うけど、ミステリーランドは子供向けの装いのくせに子供向けじゃないよね。勧善懲悪が基本じゃないもの。ある意味、世界を正しく評価してるといえばそのとおりだけど。正義なんてものは、感じ手によって豹変するんだ、って。
というわけで、どいつがいい人、こいつが悪い人、というのは難しい。結構ざっくりばっくり負傷したりさせたりしてるし、もちろん(?)死人だって出てしまう。個々人の思惑を超えて政治が絡んできたりもするしね。
でもまあ、面白いと思う。乙一らしさも出てるし。
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四神金赤館銀青館不可能殺人(倉阪 鬼一郎)
講談社 講談社ノベルス 2007年
花輪家が所有する銀青館に招待されたミステリー作家屋形。嵐の夜、館主の部屋で起きた密室殺人、さらに連鎖する不可能殺人。対岸の四神家の金赤館では、女の「殺して!」という絶叫を合図に凄惨な連続殺人の幕が切って落される。両家の忌まわしい因縁が呼ぶ新たなる悲劇!鬼才が送る、驚天動地のトリック。
驚天動地…うん…伏線は張られているのだけど、よもやそういうことだとはね。 ありかぁ、とは思わなくもないのだけど(笑) 驚天動地というよりは、脱力系なオチだったりします。 連続殺人なんですけどもね。
倉阪作品らしい遊び心があります。御詠歌の折句とか。 ちなみにふーちゃんの正体も予測がつきました。みーちゃんの仲間だな(笑)
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まほろ駅前多田便利軒 (三浦 しをん)
文藝春秋 2006年
【直木賞(135(2006上半期))】お困りの節はお電話ください。多田・行天コンビが迅速に解決いたします−。東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか…。
直木賞…に相応なのかどうかは分からないけど三浦テイストだなぁとは思った。白の軽トラも出てくるし(そこ? 便利屋というのは便利だなと思う。何をしても仕事として成り立つので話の作り方に無理がない。 それよりも、行天との再会から同居に至るまでの経緯の方がなんか無理がある気がする。あれかな、罪の意識ってやつ? 中年(成年…?)男性の、一足遅れの青春のような青臭さは面白い。
うん、面白いと思います。
ところで、このまほろ市はあのまほろ市とは無関係ってことでいいの…?
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the TEAM(井上 夢人)
集英社 2006年
人気霊能者の陰で〈彼ら〉が大活躍!? 盲目で難聴の人気霊導師、能城あや子。百発百中の"霊視"を支えるのは、彼女の仲間たちだった。過去の事件の真相や、不思議な現象の真実を次から次へと暴き出す! 極上ユーモアミステリ集。
面白い。 霊能者なんてものを私は信じていないのだけど、信じていないという前提のうえでこの人なら信じてみてもいいと思う。 それは、相談内容を裏付けるための彼らがいるからだ。 彼ら、と言ったところで、霊能者のあや子、そのマネージャー、そして不法侵入担当と、情報収集OA担当の、たった4人。 まあ、実際にこういう集団に相談しに行く気はないし、相談することもないけど(笑)
彼らのインチキを暴こうとする人間もいるけれど、基本的にどれも幸せというか、救済のオチが待っている。 自殺した妹、名前を変えた女、幽霊の声が聞こえる家、金縛りに遭う女。 犯罪が露見することも多々あるけれど、相談者は救われている。そこが面白い点の一つなのかも。
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三年坂 火の夢(早瀬 乱)
講談社 2006年
【江戸川乱歩賞(第52回)】「三年坂で転んでね」 突然大学を中退して実家に戻った兄は、そう言って死んだ。兄が遺した言葉の謎を追う実之。火の街を疾走する謎の人力俥夫。「隠された坂」が背負う運命とは?
そこそこ面白い、かな。 中途半端な感じがする場所もあるけれど、あまり深く考えなければありだと思う。人物の設定が中途半端なんだよね。名探偵役もあまり掘り下げられてないというか、後の方で出張って「僕は何でも知っていたよ」的なこと言われても萎える。それなりの伏線を貼っておいてくれないと。 東京の地形や、知名にまつわる云々、というネタ自体は面白いと思う。
どうでもいいけど、東京の地図を掲載するのなら、冒頭に載せておいても良かったんじゃないだろうか。読み終えた後で気付いてもなぁ。 ネタバレになるからというのもあるのかもしれないけど、今更感が拭えない。
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