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2007.04読了本
H19.4.3 親不孝通りラプソディー 北森 鴻 実業之日本社 H19.4.3 配達あかずきん 成風堂書店事件メモ 大崎 梢 東京創元社 H19.4.4 天国の対価 おもひでや 宝珠 なつめ 中央公論新社 H19.4.5 親亀こけたら 清水 義範 徳間書店 H19.4.5 海の底 有川 浩 メディアワークス H19.4.6 禁じられた楽園 恩田 陸 徳間書店 H19.4.10 深淵のガランス 北森 鴻 文藝春秋 H19.4.10 えんじ色心中 真梨 幸子 講談社 H19.4.11 あかね雲の夏 福田 栄一 光文社 H19.4.12 天帝のはしたなき果実 古野 まほろ 講談社 H19.4.13 記憶の繭 おもひでや 宝珠 なつめ 中央公論新社 H19.4.16 言壺 神林 長平 中央公論新社 H19.4.17 犯人のいない犯罪 小杉 健治 光文社 H19.4.19 長い腕 川崎 草志 角川書店 H19.4.24 死神の精度 伊坂 幸太郎 文藝春秋 H19.4.25 あやしうれしあなかなし 浅田 次郎 双葉社 H19.4.26 庖丁人 轟桃次郎 鯨 統一郎 早川書房 H19.4.27 λに歯がない 森 博嗣 講談社
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λに歯がない(森博嗣)
講談社 講談社ノベルス 2006年
密室状態の研究所で発見された身元不明の4人の銃殺体。それぞれのポケットには「λに歯がない」と記されたカード。そして死体には、歯がなかった。 4人の被害者の関係、「φ」からはじまる一連の事件との関連、犯人の脱出経路、全て不明。 事件を推理する西之園萌絵は。
Gシリーズ5作目。 いったい、彼女がなにをしたいのか、私には見当もつかない。いや、凡人には計り知れないのだ、と言っておくべきなのだろうか。
密室の謎は面白かった。
ところで、シリーズごとのリンクもあるせいで、誰が誰でどういう関係なのかがごちゃ混ぜになりつつ。一冊ごとのブランクが長いせいと記憶力のせいか(笑) 名前が出ても疑問符が浮かぶのに、三人称だけで語られた日には、「彼だろうか」「彼女だろうか」と推測さえもあやふやだ。
まあ、それでも楽しめるからいいけど。
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庖丁人 轟桃次郎(鯨統一郎)
早川書房 ハヤカワ・ミステリワールド 2005年
極悪非道の殺人者達に裁きの“庖丁”が突き刺さる! 七人の刺客との料理対決の行方――究極の食材とは?
7つの短編からなる連作集。 娘の誕生日にカツアゲされ殺された男。犯人の目星は付いているが逮捕には至らない。料理は寒ブリの照り焼きともう一品「冥福を祈るな」 ストーカーに追いまわされ付け狙われる女。犯人は執行猶予の判決の後、彼女を殺す。料理はアジの刺身と煮豆「死んでゆくのはなぜか」 両親に虐待され殺された子ども。崖からの転落だと言い張る両親。料理はカレイの煮付け「悪ふざけは嫌いだ」 通り魔に殺されたのは男の息子。犯人は心神喪失を装い、そう判断される。料理はレバニラ炒め「厭なことは忘れよう」 重なるカツアゲを拒んだせいで殺された中学生。犯人は先輩と同級生。未成年であるがゆえに半年で釈放。料理は皮のないソーセージ「俺は悪魔か」 通り魔に滅多刺しにされて殺された主婦。犯人は薬物でラリっていた男。料理は焼き鳥5種盛り「怖い人はいなくなれ」 乗り気じゃないコンパに誘われ、薬を盛られ、監禁輪姦暴行され死んだ少女。犯人は七年の刑期を追えて出所した。料理は自由「いつか罰があたる」
小料理屋にやってきた流れの板前、轟桃次郎。 店で刑事や被害者の親族が語る事件のあらましと犯人の素性。 そして、処刑される犯人達。 彼らの死体の一部は切り取られ持ち去られ…。 そして料理対決が始まる。
各章ラストの刑事たちの反応が微妙な気もするが(笑)
日本は犯罪者に甘い。 全編を通して、そう語られている。 被害者は二度と戻ってこないのに、反省した、心身喪失だった、未成年だった、証拠がない。そんな理由で、罪に問われなかったり、執行猶予だったり、数年で釈放されたりする。 作中の彼らの多くが反省なぞしておらず、次の犯罪を企てていたりもする。
幸いにして事件に巻き込まれたことはないが、共感できる気がする。罪を償えばそれでいいか、といえば、違うのだと思う。 だから彼は犯人達を殺す。 いや、だから、というのは違うのかな。彼もまた、殺したいから殺している、らしいから。 もちろん、それがいい方法かどうかなんてことも私には分からないけれど。
ラストは、そんなオチだったか、と。
鯨作品は、多少無理やりというか、ツッコミたくなる部分もあるけれど、割と好き。 今回は、シリアス路線寄り。
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あやし うれし あな かなし(浅田次郎)
双葉社 2006年
七つの優霊物語。 日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。
神の山に登ってきた男女の心中と、神の山に生きる一族の話「赤い絆」 夜逃げした一家の前に現れる、もう一人の自分「虫篝」 幾つになっても若いままの友人が語るかつての恋「骨の来歴」 銀座の古い病院に勤める婦長がいう昔の男とは「昔の男」 両親の新盆に、知り合ったばかりの女と迎え火を焚く「客人」 戦時中の男と、現代の青年、そして死神の如き老婆「遠別離」 神の山に狐憑きの少女が連れられてきた「お狐様の話」
一話目と最終話は同じ設定。ただし、部屋だけは違う。
帯には「優霊」と書いてあるが、どうも優しくないのじゃないか、というものも(笑) 怖くはない。
面白くないこともないが、後々印象に残ることも少ないような気がする。 初浅田作品(だと思う)なのだけど、ふうん、こんな感じなのかな、という感想。 「虫篝」「昔の男」辺りが好きかな。
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死神の精度(伊坂幸太郎)
文藝春秋 2005年
クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。 CDショップに異常に入りびたる。苗字に町や市の名前が使われている。受け答えが微妙にずれている。素手で人に触ろうとしない。いつも雨にたたられている。 そんな人が近くにいたら死神かもしれません。
クレーム係の彼女は執拗な男からの電話に悩まされている。クレームは次第におかしな要求になっていって「死神の精度」 任侠道を地で行く藤田はどうしても落とし前をつけたい男がいた。弟分の阿久津はそれを止めたい「死神と藤田」 吹雪の山荘で人が次々と死んでいく。いったい犯人は誰なのか「吹雪に死神」 勧誘電話がストーカー行為になっていくことに怯える女。彼女に恋する男は「恋愛で死神」 人殺しをした少年と旅をする死神。少年の過去にあったものは「旅路を死神」 美容院の老女は死神の正体を見破ったが驚かない。代わりに不思議な条件を出した「死神対老女」
久々の伊坂作品。今回はカカシとか出てこない(笑) かわりに、主人公は死神。調査命令が出ると、相手と接触して「可」か「見送り」かを判定する。期限は一週間。でも、たいていの場合「可」をつける。なぜなら死神たちはあまり仕事熱心じゃないのだ(笑)
面白かった。 個人的には「吹雪に死神」の犯人と、「死神対老女」の理由。 死神が主人公だから当然人は死ぬんだけど、日常ミステリに似たほのぼの感がある。 主人公のボケっぷりがいいのかもしれない。
…そういえば、あれかな、落書きとかしちゃってた青年。実は彼とかいうオチだったりするのかな…。
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長い腕(川崎草志)
角川書店 2001年
第21回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
東京近郊のゲーム制作会社で起こった転落死亡事故と、四国の田舎町で発生した女子中学生による猟銃射殺事件。一見無関係に思えた二つの事件には、驚くべき共通点が隠されていた。 閉塞状況から生まれる精神的な歪みと、人間の深層心理に影響を及ぼす物質的な歪み。
面白かった。 後半になるにつれて「歪み」が酷くなって、ハラハラさせられ、なおかつ嫌悪感を呼び覚ます。その書き方が上手い。 選評にもあったけど、ネット世界のような現代的な歪みだけならありがちだけど、そこに絡む、時を超えてもたらされる歪みとの落差によって面白みを増していると思う。
結局のところ、ゲーム会社社員転落事故とかケイジロウなんていうのは、ネットでもたらされた歪みの一つの形、ってことでいいのかしら。特にケイジロウ。説明あったかな…? あと、石丸さん。 得体が知れんまま終わってしまったので、今後彼の行く末が心配(笑)
著者がセガに勤めていたこともあって、ゲーム制作の裏側も垣間見られて面白い。…ていうか、大変そう…。
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犯人のいない犯罪 質草人情物語(小杉健治)
光文社 1993年
うなされる蒲団、腕一本、一万円札など―、浅草の「天野質店」にはとんでもないものが質入れされる。そこの父子が姿なき放火犯と対決する。
身なりのいい女が金が要るからと母の形見を質に入れると言う「質草・象牙の撥」 質流れの布団を買ったらうなされたと男が訴える「怪異な質草」 かつて由緒があった家の娘が持ってきた仏像はとんでもない宝だった。そして背後に横たわる放火事件「蘇る古仏像」 ラブホテルの代金が払えないので時計を質に入れると言う女。しかしその時計は盗品だった「密室の質草」 腕のいい職人が己の腕を質草に金が欲しいという。幾つもの質屋で同じ父娘が同じことを「人情質屋の打算」 三十万円を質草に金を貸してくれという男「質札のお守り」 放火犯を捕まえなくては質屋を廃業すると啖呵を切った父「質屋廃業」
短編7編と、全編を通して張り巡らされた事件。 質屋の父子と、質屋史をまとめるため通う大学講師の女性。
犯人がいないかどうかは別にしても、日常ミステリに近いというか。わりとほのぼのと読める。 後ろに大きな詐欺グループや窃盗事件が見え隠れして入るが、おおむね人情系。 質屋見習の息子と、大学講師の女性の、じわじわと近付いていく距離感もくすぐったげでよい。
なかなか面白かった。
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言壺(神林長平)
中央公論新社 1994年
万能著述支援用マシン“ワーカム”に『言語空間が揺らぐような』文章の支援を拒否された小説家・解良翔。友人の古屋は解良の文章の危険性を指摘する。その文章は,通常の言語空間で理解しようとすると,世界が崩壊していく異次元を内包しているのだ。ニューロネットワークが全世界を繋ぐ今,崩壊は拡大されていく…第16回日本SF大賞受賞作品。
ワーカムを主軸とした短編集。作家業をしている幾人もの主人公が、ワーカムに翻弄され、現実に嘲笑され、虚構に愚弄される。そんな感じ。 はっきり言って、混乱する(笑) ワーカムというのは書き手の癖や思考などを読み取って、文章のチェックをしたり、先に続くであろう文章を推測してくれたりする、便利な機械。使い込んでいけばいくほど、箇条書きしただけでも小説が書きあがってしまう、という。 添削機能としては便利だろうが(一人称の使い分けや、表記揺れチェックなどはしてもらいたいところだ(笑))、ここまでおせっかいだとうざったい気がする。 なにせ、こっちが是としても機械が非と断じれば、梃子でも受け入れてくれないのだから。
つまり、これは、機械と作家との攻防戦を描いている短編集なのだ。
というのは分かったが、正直あんまり…(笑)
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記憶の繭 おもひでや(宝珠なつめ)
中央公論新社 C★NOVELSファンタジア 2006年
そこは「思い出」を商うお店。モノトーンの服に手袋の店主テンと明るいムードメーカーのクレオ、そして寡黙な思い出作家のサナギ。 彼らのもとにまた今日も思い出を欲しがるお客がくる。 出来なかった結婚式を。「ウェディング・ベル」 教科書の模試範囲を。「カリキュラム」 同じ男を愛する双子の妹にも愛を。「スリーピングビューティー」 相棒で同僚で我が子のようなマリアに故郷を。「マリア」 失われた記憶の変わりに。「ミッシングリンク」 ナンバーワンホストになるための愛の記憶を。「メタモルフォーゼ」 クレオをモデルにと望む癒し系画家。「ハレーション」 そして店主ご挨拶。
「おもひでや」の2作目。前回よりもキャラがはっきりしてきたかな。少しずつ裏も見え出したし。新しいキャラも出てきたけど。 テンは、「店主」のテン、じゃなくて多分トランプの「10」ですね? 今回好きだったのは「スリーピングビューティー」。 傲慢と憐憫とがもたらす悲劇。 基本的に、悲劇の方が面白いです(笑) 「ミッシングリンク」はもう少し掘り下げて欲しいというか、もう少し補足が欲しい。想像で補えということかな。 「マリア」もなかなかいいオチ。 うん、前回よりも面白いと思う。
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天帝のはしたなき果実(古野まほろ)
講談社 講談社ノベルス 2006年
90年代初頭の日本帝国。名門勁草館高校で、子爵令嬢・修野まりに託された数列の暗号を解いた奥平が斬首死体となって発見される。報復と解明を誓う古野まほろら吹奏楽部の面子の前で更なる犠牲者が! 青春ミステリ。
長い割には読みやすいが。 ルビが振られまくりで読む速度は通常よりも格段に落ちる。 おかげで少し途中で投げたくなる(笑)
話としてはまあまあかな。 終章でなんだかスケールが大きくなりすぎてなんだかなぁ、って感じもなくもないし。 面白くなくはないけど、もう少しすっきりできるんじゃないかな、って感じの出来具合い。
犯人は、一応読者への挑戦状も付いてるんでフェアなんだろうけど、私がそういう読み方をしないミステリ作家泣かせの読者なので(笑) でも、謎解き編(遅っ)で胡散臭さ抜群だったので、なんとなくヤツが犯人じゃないかとは思った。つまりまあ、意外性はない人が犯人かな。
ところで。 第8楽屋はもともと空室で、今回に限っては鍵が掛からない設定。出入り自由と言っているのに、謎解きの際に「カードキーを入れる人がいないかと心配しながら」などと述べているのが気にかかる。まあ、本筋とは全然関係ない瑣末ごとなんだけど。どっちにせよ、人の出入りが気になるっていう点では変わんないし。
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あかね雲の夏(福田栄一)
光文社 2006年
「すぐに帰って来い!」勤務先の突然の倒産で失業者となった社会人二年生の安宅俊太にかかってきた、郷里の父親からの電話。一方的な命令に反発しながらも、とりあえず帰省した俊太は、再就職前の暇つぶし感覚で、亡くなったばかりの一族の当主が住んでいた広大な屋敷のひと夏限りの住み込み管理人を引き受けた…。
福田作品は、どこかほっとする感じがある。癒し、というのと似てるのか、和みと言うべきなのか。 本作品も、割と筋は読めるし、その通りの展開で進んでいくんだけど、それでも読んでしまう、そういう面白さというか魅力がある。 どたばたでなく、割と分かりやすい淡々としたストーリーなので、掴みやすい。 ラストまで淡々としていて、そういうオチなんだ、と思う反面、こういう映画のラストみたいな感じもありかな、と思わされる。 確かにそこも一つの区切りなんだな、みたいな。
途中で出てきた親戚のおばちゃんの位置付けがわかんないんだけど、伏線に見せかけてただの通りすがり的な(笑) まあ、日常では多々あることだよね、伏線に見せてなんでもないっていうの。 …でも、小説の中だと色々勘繰るし、そうであって欲しい気がするのよね(笑)
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深淵のガランス(北森鴻)
文藝春秋 2006年
花師と絵画修復師、二つの顔を持つ男。 大正末に活躍した洋画家の傑作の修復を依頼された佐月恭壱はパリの町並みの下に隠された別の絵に気付くが。 未発表の洞窟壁画の修復を依頼される。だが、そこに、分割された絵画の謎も絡んできて。
女狐と言われている人は、彼女でしょうか(笑) でもちょっと性格が違う気がするかな…。 この人の作品はあちこちでリンクしているので、出来ればいろいろ読んでいたほうが面白い。 まあ、それはさておき。
そこそこかな。 「深淵のガランス」のほうは面白かったけど、「血色夢」はごちゃごちゃしすぎてた気がする。でも面白いけど。
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えんじ色心中(真梨幸子)
講談社 2005年
十六年前に起きた「西池袋事件」。被害者は受験戦争を潜り抜けて超難関校に合格した中学生。加害者はその父だった。 歳月を超え、繰り返された悲劇と「西池袋事件」を繋ぐものとは。
分かりづらい。 どれが誰で誰がどれなのか、分からないような書き方をしているが、結局のところ分かりやすい捉え方でいいようだ。 ただ、この人の書く人間の気持ち悪さがいい。腹黒さ、未熟さ、残酷さ、怠惰さ、そういうものを見事にミックスさせて読後感が悪い感じがよい(笑)
万人受けはしないだろうが。
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禁じられた楽園(恩田陸)
徳間書店 2004年
平口捷は、若き天才美術家の烏山響一から招待され、熊野の山奥に作られた巨大な野外美術館を訪れた。そこは、むせかえるような自然と奇妙な芸術作品、そして、得体の知れない“恐怖”に満ちていた……。 現代の語り部が贈る、幻想ホラー超大作。
怖さはある。 なんていうか、視覚に訴えてくる怖さ。気持ち悪い感じがいい。 血みどろだとか、手首だとか、首だとか、内臓みたいなゴムのひだひだとか、カラスの大群とか。狂ってるんだか、現実なんだか、曖昧な感じもいい。 でも…なあ…。 このラストの薄っぺらさ。 これもまた恩田作品にはありがちなんだけど、オチがイマイチしっくり来ないんだよね。 そっち路線で終わるならそれでもいいんだけど、なんだろう、展開が急すぎて「とりあえず、終わりそうにないから無理やり終わってみたー」って感じで終わる。 そんなわけで後味は悪いが、でも、途中はいい感じ。
…終わり良ければ、っていう言葉があるとおり、終わりがあれだと、読んだあとが困るけど、それでも良ければ、いいかも(笑)
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親亀こけたら(清水義範)
徳間書店 1998年
どこにでもありそうで、どこにでもなさそうな、日常を切り取った短編集。
正直、オチがイマイチなものが多いのだけれど、上記のように「日常を切り取った」のならオチがなくても仕方ないのかも。 さらりとなにも考えずに読んでみる分にはいいかな、という感じ。
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海の底(有川浩)
メディアワークス 2005年
横須賀に巨大甲殻類来襲。 食われる市民を救助するため機動隊が横須賀を駆ける。 孤立した潜水艦「きりしお」に逃げ込んだ少年少女の運命は。 海の底から来た「奴ら」から、横須賀を守れるか。
面白かった。 基本的にこの手の話は好きみたい。つまり、クライシス系…? 人類対天災、みたいな。 そこで描かれる人間模様の深刻さと、適度に混ぜ込まれるコメディ、それから打たれ強さ、みたいなものが好きなようだ私。
潜水艦の中の少年たちや少女のやり取りも面白いんだけど、似ても焼いても食えないような、陸上での政治的やり取りも面白い。 もちろん、というかなんというか、誰もが無傷で、というふうに行かないのだけど、それもまたいい。
ザリガニみたいだと何度も文中に出て来る奴らなのに、頭の中でどうも赤いフナムシ、或いは蝦蛄を想像してしまう。 グロさが増すが、威力は落ちそうだ(笑)
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天国の対価 おもひでや(宝珠なつめ)
中央公論新社 C★NOVELSファンタジア 2006年
とあるマンションの一室、白いドアの銀色の表札には「おもひでや」と刻まれている。そこでは『思い出』が買えるのだ。姉思いの弟、夢破れた野球選手、そして友を探す老人。強い思いを胸に店を訪れた彼らが手にするものとは。
中途半端な感じもあるけれど、まあそれなり。シリーズものらしいし、主要キャラについてはおいおい語られていくんだろう。 そのメインキャラたちが、個性豊かそうに見えて、その実いまいち味がない感じがあるのが難点。魅力に乏しいというか、人間味に乏しいというか、いや乏しくてもいいんだが、なんだかいまいち薄い。 想い出を売るというアイディアは面白い。売られたものがどんな影響を及ぼすのかも。 個人的には、元カレに思い出を売ってもらった女の人の話が面白かった。 そうだよね、そうでないと(笑)
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親不孝通りラプソディー(北森鴻)
実業之日本社 2006年
1985年の博多の町を舞台に、危険と謎が絡み合う、クライム・ミステリー。 美人局に引っかかったキュータは、地元信金の裏金を奪う計画をテッタに持ちかけ、断られる。代わりに引き込んだキョウジと首尾よく一億二千万を手に入れたのはいいが、そこから歯車が狂いだした。 警察の裏事情、一連の計画の裏で糸を引く人物、金を狙う山沢組、脱北者グループも絡んで、狂騒の体。 果たして彼らに明日はあるのか。
高校生であるはずの彼らのヘビーな日々。 「親不孝通り」はもう一つ作品があるのだけど、あんまり詳細覚えてない(笑) なんか、ビミョーなハジケ方をした作品。 青春小説と、ハードボイルドと、何かを足して割ったような。 読みながら疲れた。
全編を通して博多弁で語られているので、方言に親しんでいる人の方がより楽しめると思うったい(笑)
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配達あかずきん 成風堂書店事件メモ(大崎梢)
東京創元社 東京創元社◎ミステリ・フロンティア 2006年
「いいよんさんわん」近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しにきた女性。配達したばかりの雑誌に挟み込まれていた盗撮写真。見舞いの本を選んでくれた店員を探しにきた元入院患者。ディスプレイされた作品にかけられた黒い悪意の正体。 しっかりものの店員杏子と、勘の良いアルバイト店員多絵の二人が解く謎。 短編5編。
実は2作目の長編を先に読んでいたのだがまあ、問題ない(笑) 書店勤めの経験者なら、なお頷くことがあるのではないかと思われる書店の日常。そこに紛れ込む幾つもの謎。 日常ミステリなので、誰かが死ぬということもなく、割とほのぼのとしたものも多く、読後感が良い。 『六冊目のメッセージ』なんか、ほのぼの感が良い感じだし。
ミステリフロンティアは割合面白い作品が多いので、オススメ。
個人的には、巻末の書店員座談会も面白い。
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